これまで散々悪霊を退治してきたMETEORとCHIN-HURTZだが、今回一つの転機が訪れる。

愛と憎しみは紙一重。

人を愛するがゆえ、その大切な人を失った時の悲しみが憎しみへと変わり、悪霊と化してしまった。そんな悪霊と一戦交えるお話である。

HOOK

俺はこいつにとどめさせない。
憎しみの奥にピュア過ぎる愛
見つけた時、体が止まる
そこに涙流した俺らいた。

CHIN-HURTZは戦っている時、ふと異変に気がついた。

殺意を持って襲いかかって来る悪霊には違いないのだが、その攻撃一つ一つが、苦しんでいるように思えてならなかった。

拳を交える度に、頭によぎるのは家族で食卓を囲み楽しく食事している風景や、遊園地に行って子供達とはしゃぐ姿、夕暮れ時の海沿いを手を繋いで帰るさりげない日常、そういった思い出のような画像が飛び込んで来る。

こんな事は今まで悪霊退治してきた経験の中では初めてであった。

視界が曇る。

気づけば、目に涙を浮かべていた。動揺を隠せないCHIN-HURTZはMETEORに言った。

CHIN-HURTZ「師匠!俺はこの悪霊がどうしても悪い事をしたとは思えないんです!」

METEOR「うーむ、厄介だな!」

METEORもこの悪霊の奥に潜むピュアな心に気がついていた。

2人とも手が出せないまま、悪霊の攻撃が続く。

METEORが言った。

METEOR「チンハーツ俺帰るわ!」

CHIN-HURTZ「え!?」

METEORはマスタークラスゆえ、かつてこういったピュアな悪霊とも戦って来ていた。

後から聞いた話だが、危険をかえりみずに仕事をこなすYOUTUBERだったり、危険地帯を訪れるニュースキャスター!使命感と正義感を持って行動する人間が命を落としたりすると、こう言ったこの世に未練がある悪霊が生まれやすいと言う。

今回の悪霊は、家族が不慮の事故で亡くなってしまい、やりきれない思いから命を絶った人間の悪霊であった。

実際、悪い事をして悪霊になったわけではない。

METEOR「チンハーツ!あとで協会側に連絡しとくから、それまでうまくやっといてくれ!」

CHIN-HURTZ「い、いや、もう結構自分も限界なんですけど。。。ぐはぁ!!!」

METEOR「救いたいのはやまやまなんだけどねぇ!うかつに手を出すと、怨念が伝染してまた誰かに乗り移っちゃうのよね。協会の消滅班に依頼するしかないんよ!」

CHIN-HURTZ「消滅班!?完全に消し去るって事ですか!?浄化できないんですか?」

METEOR「うん。浄化は無理!浄化すれば取り憑かれてる人間も死ぬ!」

CHIN-HURTZ「でもこの悪霊、悪い事してないじゃないですか!?消滅って。。。」

METEOR「俺もこの手の悪霊は苦手でね。じゃあよろしく!」

METEORは帰ってしまった。。。

残されたCHIN-HURTZの体はすでにボロボロになっていた。

CHIN-HURTZ「くそぉ!なんか手はないのか。。。」

「!!!」

その時、CHIN-HURTZは、以前会長が去り際に言った言葉を思い出した。

(会長「君は悪霊と同調しやすい体質のようだ、でも決して同調しようとしてはいけない。君の方から悪霊に歩み寄ろうとすれば、自分の身を滅ぼす事になるだろう。だから悪霊を憎む事で、その一線を引く事ができる」)

もう逃げる力も残ってないほどCHIN-HURTZは疲れ切っていた。

CHIN-HURTZ「はぁ。。。はぁ。。。こんなピュアな悪霊を消滅なんかさせてたまるかーーーー!!!!俺はここだ!来やがれ悪霊!!!うぉぉぉぉぉ!!!」

CHIN-HURTZは、すべてを受け入れた!その瞬間、悪霊はCHIN-HURTZの体に吸い込まれるように、姿を消した。

この時、体内に悪霊を封じ込める事でこの戦いを終わらせたCHIN-HURTZは、事の重大さに気づいてはいなかった。

これは「憑依」と言われる術であり、協会が定めた禁忌にあたる。

この先CHIN-HURTZは協会側から目をつけられ、しばしば衝突を繰り返す事になるのは、もう少し後の話であった。

「師匠帰っちゃったよー!笑」

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